怪文庫

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顔を舐める友人

大学時代、仲の良かった友人が一人暮らしの我が家へやってきた。

 

たまっていたレポートを一緒にやることになっていたのだけど、初めてのお泊り。お菓子やジュースやお酒を買い込んで、友人を待った。正直初めてのお泊りに、私はテンションが上がっていたのだと思う。

 

友人もそうだったんだろうね。やってきた友人もどこかいつもよりテンションが高く見えた。

 

早い段階でレポートも完成、明日は休み。お酒も入り、私たちは上機嫌。

 

そんな時、いきなり友人に顔を舐められた。

 

ベロンって感じに。ぺろっとつい舐めちゃった、とかじゃない。べろ~んと舌を出してほっぺの下から上を舐められた。ちなみに、私も友人も女性。

 

わけがわからず「何するの!」って怒ったけど、彼女はニコニコ。

 

抵抗する私の腕をつかみ、顔全体を舐めていく。お酒も入っているし、臭くて気持ち悪い。鼻の穴まで舐められ、最後は唇の中に舌を突っ込まれそうになり、ようやく彼女を蹴飛ばした。

 

友人はどうしてそんなことするの、ひどいひどいと泣いていたけど、こちらが泣きたい。

 

話を聞いてみたら、彼女の田舎が原因だった。

 

彼女の田舎では友愛の証拠に、お酒を飲むと顔を舐める風習があるらしい。

 

正直ドン引きだった。でも田舎から出てきて、わからなかったんだなと思うと、仕方ないなという気持ちになった。号泣して謝罪する彼女を慰め、その日はお開きに。

 

それからは、以前と同じ友人関係を続けたが、お酒を一緒に飲むのは止めた。

 

大学を卒業した後、たまたま彼女と同郷の人と知り合う機会があった。

 

あなたも顔を舐めるのかと聞いたら、真っ青な顔して。それって、もしかしてA子のことじゃないの?と、友人の事を言い当てた。(名前も詳しいこともまだ話していないのに)

 

この人が言うには、A子は地元の田舎では有名人。人の顔を舐めては警察沙汰になり、とうとう親も勘当することになったそう。それで都内の親戚を頼って上京し、大学に進学したという。

 

当時は嫌がる子を追いかけ羽交い締めにしたり、顔に噛みついて肉に食らいついたりしたらしい。相手が同性だったから、その手の性癖をこじらせてしまった女の子という認識だったらしい。

 

でも、その話を聞いて冷や汗が止まらなかった。

 

だって、A子がカニバリズムの本を読み漁っている事を知っていたから。

 

A子は本当は、私やその女の子たちを食べようとしていたんじゃないかと思う。

 

今でもA子とは友人関係ではあるけど、私はA子と距離を置いている。

 

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