怪文庫

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魔除けの鏡

私の母方の実家はかなり田舎で、私が高校まで村の中には信号もなかった。

 

そんな村の地主が母の実家だ。

 

その村は窪地になっていたので大雨の時は浸水しやすい環境だったのだが、母の実家は高台にあったので被害を受けることはなかったが、曽祖母は「鏡が守ってくれた」とよく話していました。


当時90歳を超えていた曽祖母だったので、認知症を疑ったものですが、その話以外はしっかりしていたので、そうではない。とは思いました。


母の実家は田舎らしく、古い蔵があり鏡はその蔵にあったそうです。


曽祖母は「蔵は壊して良いけど鏡は無くさないように」とよく話していました。


そして私が高校生のころ、曽祖母もなくなり、築100年という、母の実家の建て直しと蔵の解体が決まりました。


そして蔵を整理していたら、色んなお宝が出てきました。

 

掛け軸やツボなどなど。

 

もし、当時にお宝探しの番組があったら結構盛り上がったと思います。

 

その中には例の鏡がありました。

 

その鏡は特に変わった様子もなく平凡な鏡のように見えたのですが、どうやら江戸時代ごろの鏡で歴史的価値のあるものだと分かりました。


そうすると「売ってほしい」とか「寄贈してほしい」という問い合わせが沢山来たそうです。


それから5,6年が過ぎて、祖父がなくなりました。

 

例の鏡への問い合わせは相変わらずありました。

 

その対応も面倒になった叔父は、市に寄贈することにしました。

 

流石に売るのは良くないと思ったそうです。

 

家から鏡が離れても特に問題なく、2年が過ぎた頃、母の実家の離れでボヤ騒ぎがありました。


離れは夜勤の多い叔父が寝るだけでに使うくらいで、電気はあれどガスもなく、火の気のなさそうなところでした。


そこから不思議なことが続きます。


突然、高台の基礎になっていた石垣が崩れたり、飼ったばかりの子犬がものの数ヶ月で死んだりと。


極め付けは鏡を手放した後くらいに、従兄弟(同じ年)がお付き合いを始めて結婚した女性が、実は結婚前から二股をしていて、結婚半年でそれが判明。


相手方は結婚費用の半分だけ払ってバックれ、いとこはその心労で一時期ノイローゼになってしまいました。


余りにも変なことが続くので、母から叔父に寄贈した鏡の返却してもらうことを提案しました。


最初は偶然で片付けていた叔父ですが、流石におかしいと思い、市に掛け合って売らないことを条件に鏡を返してもらいました。

 

そこから親戚一家は変わりました。


叔父が長年の勤務で体を壊して、定年前に退職したのですが、買った宝くじが当たり!高額ではなかったのですが、当座の生活には困らないくらいの額が手に入りました。


そして長年フラフラしていた従兄弟(年下)が副業で大成功。一気に豊かになり叔父を支えれるようになりました。

 

鏡のおかげなのか、と思いそこで初めてお隣のお寺の住職さんに話をしました。


その時、早くに相談しておけばよかった。と叔父は話していました。

 

例の鏡は「魔除けの鏡」なのだそうです。

 

その昔、母の実家の近くが処刑場だったらしく、その鎮魂のため寺があり、それでも不幸があったので、当時然るべき儀式をしたと言われる鏡を母の祖先が購入したそうです。

 

住職さんは寄贈を知っていたら止めた。と話をし「ならこちらで預かりましょう」となってお寺に預けることになりました。

 

お寺に預けてからも不幸なことは起きず、今思うと偶然だったのか祟りの類だったのかは分からないけど、問題がないなら今まで通りにしよう。となりました。

 

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