怪文庫

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犬鳴峠で体験した出来事

私の地元には「犬鳴峠」という有名な心霊スポットがあります。

 

映画化もされているため、名前を知っている方も多いと思われます。

 

もとは「旧犬鳴トンネル」だったのですが、トンネルを通れないようにブロックで閉鎖され、ブロックの向こうには地図に載っていない「犬鳴村」が存在するとかしないとか……。

 

お決まりの幽霊目撃譚、突然スマートフォンの電波が入らなくなるなど、不可思議なことが多いそうです。

 

過去にテレビで心霊特集が放送され、面白半分で犬鳴峠へ行った数人が事故死したことで、今や日本で屈指の「最凶心霊スポット」と呼ばれています。


私はホラー系が大キライなので絶対にそういった場所には近づかないのですが、

 

友人に騙されるような形で連れて行かれました。


時間も遅く、周囲は真っ暗。道案内には「自己責任で」の看板、真っ暗闇の中ぽつんとたたずむ電話ボックス、不法に廃棄されたごみが散乱していて、怖くてたまらず、車から降りることもできません。

 

友人は面白がって写真など撮っていますが、私はひとり車内で震えていました。


その内、なんだかおかしなことになりました。

 

急に全身が痛くなり、吐きそうなくらい気分が悪い。頭痛・腹痛・腰痛と体がどこもかしこも痛く、なんだか発熱しているような感じで、全身から震えと悪寒が立ち昇ってきました。

 

その様子を見た友人が「ねえ、○○ちゃん(私)、なんかおかしいよ」と言い出し、「帰ろう」ということになりました。


帰りの車で、運転していた友人も「なんか変」と呟きました。

 

カーナビがついているにも関わらず、同じ場所をぐるぐる回っているのです。

 

周囲に店舗などなく、場所を訊くこともできません。

 

私も体調不良が戻らず、一緒にいた友人たちも冷や汗が止まらなかったそうです。

 

 

一時間くらいさまよい続けたとき、ようやく元の道に出ることができたのですが、「このまま帰れなかったら」という恐怖は皆同じだったと思います。


ちなみに私は帰ったら39度以上の高熱に3日程苦しむことになりました。

 

その話を後に、第六感が強い友人に話をしたところ「なにかを連れて来ちゃったんだね」とあっさり言われました。

 

ちなみにその友人、広島の原爆記念資料館にて倒れた経験があるそうで、やはり人の力の及ばない世界というものがこの世にはまだあるのだと痛感しました。


無理やり私を犬鳴峠に連れて行った友人には散々責めて、お詫びにと焼肉をおごっていただきました。


もう絶対に心霊スポットには立ち入りません。皆さまも心霊スポットにはあまり近づかない方が賢明かと思います。

 

著者/著作:怪文庫【公式】(Twitter