怪文庫

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美術室の絵画

私が聞いたある学校の美術室にまつわる都市伝説をお教えします。


その美術室には、壁にかかった絵画があったのですが、その絵画が季節に応じて入れ替わっていました。

 

たとえば、春には花が咲き誇る絵画や新緑の絵画が飾られ、冬には雪山の絵画やかけられているような状態です。


しかも、その絵画が変わるのを学校の先生も生徒も見たことがないのです。

 

取り換えられている事にはみんなが気付いているのに、交換されているところを見た人間がいない。

 

生徒たちは、その不思議な現象について、様々な噂を広めていました。

 

中には、「美術室には幽霊がいて、いたずらをしている」という噂もありました。

 

また、「人知れず夜中に絵画がすり替わっているのでは」という噂もありましたが、証拠がありません。

 

入れ替えの瞬間を誰も見ていないからです。


しかし、美術室でのデッサンの授業中に、ある生徒がふと、壁にかかった絵画を眺めると、ひまわりと太陽の絵が、まるで人間が上から塗り替えていくように、じょじょに落ち葉の絵に変わっていくのを目撃してしまいました。

 

思わずあっと叫び声をあげてしまった生徒は先生に何かあったか聞かれました。

 

 

素直に絵画の変化の事を伝えましたが、当然信じてもらえず、デッサンをさぼっていた事を注意され、周りの生徒に笑われて授業は終了しました。


納得のいかない生徒はその絵画を確認しようと、放課後、誰もいないことを確認し、美術室に忍び込み、はしごを使ってよじ登り絵画に触れました。

 

すると突然、大声で叫び声をあげ、はしごから落ちてしまいました。

 

その衝撃で気を失ってしまった生徒は朝まで誰にも見つからず、親からの捜索願で探していた先生に発見されたときには子供とは思われない年を取った顔になってしまっていました。

 

その生徒は美術室での一連の奇行と容貌の信じられない変化から、周囲から避けられるようになり、人知れず転校していきました。


問題の絵画については作者名が描かれており、美術の先生によると、その人は不遇の画家で、若い時から見守ってくれていたギャラリーの主人に預けていた自分の作品が無断で他人名義で販売されていることを知り、その後日の目を見ることなく、恨みながらこの世を去っていった人でした。


絵画には作者の魂が宿るなどいわれ、作者の怨念が生徒の人格を変えてしまったのではないかと噂になりましたが、生徒の一連の行動と絵画に関連があるとは結論付けられませんでした。

 

結局、その絵画はその後、知らないうちに壁から外されていて、誰も見ることはなくなしました。

 

しかし、あのデッサンの授業の時の生徒のキャンバスには壁に描かれた絵画にそっくりなタッチの自画像が残っています。

 

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