怪文庫

怪文庫では、多数の怖い話や不思議な話を掲載致しております。また怪文庫では随時「怖い話」を募集致しております。洒落にならない怖い話や呪いや呪物に関する話など、背筋が凍るような物語をほぼ毎日更新致しております。すぐに読める短編、読みやすい長編が多数ございますのでお気軽にご覧ください。

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トンネルの終わりにある謎の村

祖父が若かりし頃、彼と数人の友人たちは、山奥でキャンプをすることにしました。

 

その夏は暑く、湿度が高く、日が沈むと蚊がわんさか湧いてきました。

 

夜の闇が森を包み込むと、周囲は静かで幽玄な雰囲気に包まれました。

 

キャンプファイヤーを囲んでいると、空の星が輝いて見えました。

 

みんなで焚き火を囲みながら、話やジョークを交わし、楽しいひと時を過ごしていました。

 

翌朝、祖父たちは無人の古いトンネルを見つけました。

 

そのトンネルは、緑に覆われた山の中腹にぽつんと佇んでおり、入り口には苔むした石が積み上げられていました。

 

好奇心に駆られた彼らは、トンネルの中を探検することに決めました。

 

トンネルの中は、外の暑さから逃れられる涼しい場所で、薄暗く湿った空気が漂っていました。

 

石でできた壁には、手で触れると水滴が伝うほど、水分を含んでいました。

 

彼らがトンネルを進むと、突然目の前に広がる光景に驚きました。

 

そこには、時が止まったかのような美しい古い村が存在していました。

 

村人たちは、祖父たちが現れたことに驚き、彼らを歓迎しました。

 

祖父たちは、村の伝統や風習について興味津々で話を聞いていました。

 

彼らは特に、村の外れにある小さな祠の話に興味を持ちました。

 

村人たちは語る、その祠は古くからの神秘的な力を持っており、村に災厄をもたらす恐ろしい怪物を封じ込めているという。

 

そのために、村人たちは毎年特別な祈りを捧げていたと言います。

 

しかし、もし祈りが途切れたり、何らかの理由で伝統が破られた場合、怪物が再び目覚め、村に災厄をもたらすとされていたのです。

 

祖父たちは、その話を聞いて興味津々で、村の歴史や祠に関するさらなる情報を求めました。

 

村人たちは、祖父たちに、祠に近づかないよう忠告し、祈りの儀式には決して立ち会わないようにと言いました。

 

祖父たちは村人たちの警告を受け入れ、村での滞在を楽しみました。

 

しかし、その夜、彼らは祠への興味が抑えられず、密かに祠を訪れることにしました。

 

祠の周りには、緑が蔓延り、高い木々がそびえ立っており、月明かりの下で幻想的な光景が広がっていました。

 

そこには、祠の入り口に立つ小さな石像があり、古びた扉には鍵がかかっていました。

 

祖父たちは、村人たちの警告に背いて、その鍵を外し、祠の中に足を踏み入れました。

 

中に入ると、怪物の姿は見当たらず、ただ古い祭壇がありました。

 

しかし、その祭壇には、厳かな雰囲気が漂っており、祖父たちはその場に畏敬の念を抱きました。

 

そんな中、突然祠の扉が閉じ、祖父たちは外の世界と完全に遮断されることになりました。

 

彼らは急いで扉を開けようとしましたが、どうしても開かないのです。

 

絶望的な状況の中、祖父たちは祠の中で一晩過ごすことになりました。

 

翌朝、彼らは目を覚ますと、元の世界に戻っていました。

 

しかし、村はもうどこにも見当たらず、どこかに移動させられたかのように、彼らが目の当たりにしたのは通常の山の風景だけでした。

 

その後、祖父たちは、あの村と出会ったことを語り継ぎ、家族や友人たちにその不思議な体験を話しました。

 

しかし、この物語は私たちの家族にとって、今もなお語り継がれる不思議で奇妙な話として残っています。

 

実際に起こった出来事なのか、それとも単に祖父たちの想像の産物なのか、私たちには確かめようがありません。

 

しかし、この物語は、私たちの家族にとって、時間が経つにつれてさらに神秘的で魅力的なものになっています。家族の集まりや特別な機会には、いつもこの話が持ち出され、私たちはその不思議な村に想いを馳せることがあります。

 

この物語が教えてくれることは、世界にはまだ私たちが知らない、未知の場所や出来事がたくさん存在しているということです。

 

それは、私たちの探求心を刺激し、私たちの人生に冒険や驚きをもたらすことができます。しかし、同時に、私たちが未知のものに触れるときには、注意深く、敬意を持って接するべきだということも教えてくれます。

 

祖父たちの物語は、私たち家族に受け継がれる価値ある宝物であり、未来の世代にも引き続き語り継がれることでしょう。

 

ただ実は、この話には続きがあるのです。

 

それは数年前、私が大学生だった頃の話です。

 

ある長い夏休み、私は家族とこの伝説に興味を持つ友人たちと一緒に、祖父たちが話していた不思議な村を訪れることにしました。

 

私たちは村の場所を調べ、地図やインターネットを頼りに、その場所を探し当てました。

 

遠く離れた山間部にあるその村は、周囲の風景からも浮かび上がるかのような独特の雰囲気を持っていました。

 

村の人々は、私たちが観光客だと分かると、親切に歓迎してくれました。

 

しかし、私たちが村の伝説について質問すると、彼らは顔色を変え、話題を変えようとしていました。

 

その夜、村の宿で寝る前に、私たちは祖父たちの話をもう一度思い出しました。

 

そこで、私たちはある計画を立てました。明け方、村人たちが眠っている間に、私たちは祖父たちが言っていた祠へ向かうことにしました。

 

朝焼けが空を染め始める頃、私たちは祠へとたどり着きました。

 

そこには、古びた石碑と奇妙な形をした石像がありました。

 

私たちは、石碑に刻まれた文字を読み解こうと試みましたが、古い言葉で書かれていたため、理解できませんでした。

 

しかし、そのとき、突然、石像が動き出したかのような気配を感じました。

 

私たちが驚いて石像を見つめると、石像の目が赤く光り始めました。

 

その瞬間、私たちは足がすくみ、恐怖に駆られました。

 

石像の目の光は次第に強くなり、とうとう村に向かって一筋の光が放たれました。

 

その光が村に届くと、まるで地響きのような音が響き渡りました。

 

私たちは、これが祖父たちが語っていた怪物の目覚めの兆しではないかと思い、恐怖におののきました。

 

私たちは急いで祠を後にし、村に戻りました。

 

村人たちは、私たちが何をしたのかを知り、憤りと怖れを感じていました。

 

彼らは私たちに、祠に近づかないように警告していたのに、私たちがその言葉を無視してしまったことを責めました。

 

村の長老は、私たちが怪物を目覚めさせてしまったことで、村に災いが訪れるかもしれないと心配し、慌てて祈りを捧げ始めました。

 

その夜、村は不安に包まれましたが、幸いにも何も起こりませんでした。

 

次の朝、長老は祠を訪れ、何らかの祈りを捧げた後、私たちに村を離れるように言いました。

 

私たちは、村人たちに謝罪し、村を後にしました。

 

その後、私たちはその村や祠に関する話題を避けるようになりました。

 

しかし、あの日以来、私たちの中で不思議な現象が起こることがあります。

 

例えば、時折、石像の赤い目の光が見えるような気がしたり、耳に遠くの地響きのような音が聞こえることがあります。

 

今でも、私たちはあの日の出来事が現実だったのか、それとも単なる幻想だったのか、確かめようがありません。

 

しかし、私たちが体験した奇妙な恐怖体験は、私たちの心に深く刻まれたままです。

 

それから数年が経ち、私たちはそれぞれの人生を歩んでいますが、時折、あの夏の出来事を思い出し、不安を感じることがあります。

 

今も、あの村や石像がどのようにしているのか、時々気になることがありますが、私たちは決してあの村を訪れることはありません。

 

そして、この奇妙な体験は私たちの間だけの秘密として、今もなお語り継がれています。

 

あの村や石像、そして怪物の正体は、いつか誰かが解明するかもしれませんが、私たちはただ静かにそれを待ち続けています。

 

著者/著作:怪文庫【公式】(Twitter