怪文庫

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不気味なフロア

これは私が実際に体験した話です。

 

私は思春期の頃、とても肌が脂ぎっていて顔中にニキビや吹き出物などが大量にできていました。

 

そんな自分に嫌気が差し、仕方なく皮膚科に通おうと思いました。

 

ネットでニキビ治療にとても定評のある病院を探し、そこに行くことを決意。


その病院は郊外のちょっと寂れたビルの中にあり治療の評判は上々。エレベーターで7階に上がり、そのフロアの一室に病院があり診察を受けました。


その後、何度か治療のためその病院に通うことになるのですが、ある日を境に不可思議な出来事が起き始めたのです。


いつもエレベーターに乗って、その病院があるフロアへと向かうのですが、その病院がある7階に到着しドアが開いた瞬間いつもと雰囲気がまるで違うのです。

 

なんだか薄暗く不気味な空気感で絶対に先へは進みたくない心霊スポットのような寒気さで困惑しました。

 

でもニキビも良くなってきたのでなんとしてでも、その病院に行かなければならないという一心で前に進みました。

 

しかし、皮膚科があるとされる所までたどり着いたのですが、なぜかその場所に病院がありません。

 

看板も無くただのまっさらな壁になっていて「フロアを間違えたか」と、もう一度エレベーターに乗ってひとまず一階へと戻り再び7階のボタンを押して上がって行きました。

 

するとさっきとは打って変わって、いつもの空気が充満したフロアに着きちゃんと皮膚科もありました。

 

 

さっきのフロアは一体なんだったのか急に怖くなり、その日は診療を終えてすぐさま家に帰りました。


後日またニキビがぶり返し再び皮膚科へと足を運ぶことになってしまいます。


エレベーターに乗り7階のボタンを押し上がっていく最中、なんだか嫌な予感がしてドキドキしていたら案の定この前の不気味なフロアが現れました。

 

確認するとエレベーターの表示は、ちゃんと7階になっています。

 

しかし、またしてもそのフロアには皮膚科がありません。

 

「どういうことか」と恐怖を抱きながら少し探索していると廊下の片隅に掃除のおばさんがいるのを発見。

 

私は興味本位から、そのおばさんに「このフロアは一体なんなんですか?」と質問。

 

するとそのおばさんは自分の顔をじっと見つめながら「どうして、あなたはここにいるの?早く帰りなさい」と発言。

 

意味が全くわからなかった私は「どういう意味ですか?」と再び質問。

 

するとおばさんは急に怖い顔になり、無言で私の手を引き強引にエレベーターへと押し込まれました。


この出来事があってから、その謎のフロアには行くことができません。

 

もしかすると、あの不気味なフロアはあの世への入り口だったのかもしれないと今となっては思っています。

 

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