ある日僕は夢を見て、その夢の中で電車に乗りました。
いつも仕事の帰る時に乗る「19時24分発」の電車です。
大体いつも少し残業をして、そろそろこの辺で終わりにするか、と片付けを済ませて早歩きで駅に向かいます。
そうするといつもこの時間の電車に乗って家に帰るのです。
夢の中でも同じ電車に乗るなんで、もはやこの電車は生活の一部、体の一部になっているといっても良いでしょう。
でもいつもと違ったのは、現実では4駅先で降りるんですが、夢の中では5駅先で降りたんです。
僕は直行直帰したいタイプなので、家の最寄り駅以外で降りることは今までありませんでした。
夢の中で降りた5駅先は、誰もいない無人駅でした。
たった一人で駅のホームで立っていて、そのまま次の電車は来ませんでした。
僕は駅のベンチに腰掛けて、ついうとうと眠ってしまいました。目が覚めると僕は布団の上にいて、なんだ不思議な夢を見たと現実の世界に戻ってきました。
夢から覚めたのは朝6時。いつも通り出勤の1時間前でした。
朝食を済ませて出勤し、真面目に働き少し残業をし、いつも通りの1日を過ごしました。
そしてまた早歩きで駅へ向かい、「19時24分発」の電車に乗りました。
僕は昨日の夢を思い出して、5駅先の駅に行ってみたくなりました。
明日も仕事があるけど、1駅分ぐらいならそんなに遅くなることも無い。むしろたまには晩御飯を食べて帰るのも良いだろう。
そう思って5駅先の駅まで乗ってみることに決めました。
駅へ降りると、そこは夢で見たのと同じ無人駅で、ホームには僕以外に誰もいませんでした。
あの夢は正夢だったのか?いつか来たことがあり、その記憶が夢に出てきたんだろうか。
考えているうちに僕は何だか眠くなってきて、駅のベンチに腰掛けました。
気づいたら眠ってしまっていたようでした。
目が覚めると僕は布団の上にいて、これは夢なのか現実なのか分からなくなっていた。
時計をみると朝6時。
いつもの起床時間だった。
不思議な感覚を残したまま朝食を済ませ、いつも通り出勤した。いつも通り真面目に働き、少し残業をして、今日もまた「19時24分発」の電車に乗った。
僕はどうしても5駅先まで行きたくなって、結局5駅先の駅で降りたのだった。
するとそこはやはり無人駅で、僕1人しかいなかった。
すぐにベンチに座って目を瞑ってみると、すぐに睡魔に襲われて眠ってしまった。
目が覚めると僕は布団の上にいて、やはり朝6時だった。
この話を聞いて、同じことの繰り返しじゃないかと思うだろう。そう、僕はまだ夢の中から抜けられていない。
著者/著作:怪文庫【公式】(Twitter)