本当にあった体験談で、私は怖い話に弱く、書くのも怖いので、怖い表現は避けて書かせて頂きます。
私の妹は、霊感が非常に強く、子どもの頃からよく、幽霊が見えると言っていました。
一方、子どもの頃の私は怖いものが苦手で、目に見えない世界のことを信じるタイプでは無かったので、妹の話はいつも半信半疑で聞いていました。
ですが、妹と私は相部屋で、真っ暗な部屋の中、寝ている私を起しに、私の傍に来た妹に「落ち武者がいた」とか「お経が聞こえる」とか言われるのには、いつも背筋が凍る思いをしていました。
私が中学校に上がる頃、小学校高学年になった妹は、好んでホラー映画を見るようになり、ホラーが苦手な私はいつも妹がホラー映画を見ると部屋を去るようにしていました。
妹が中学に上がる頃、私は高校受験となり、自室だと眠ってしまうので、ベットの無いリビングの隣の部屋で夜中まで受験勉強をするようになります。
その頃、妹は夜中にインターネットでイヤフォンを付けてホラーサイトを見ることが日課になっていました。
私は妹が隣の部屋で怖い話を観ていることへの恐怖よりも、夜中に隣の部屋で一緒に起きている妹がいることへの安心感の方が強く、心強く思っていました。
あの日までは…
ある冬の夜、私はいつもと同じように、リビングで参考書を広げて、頭脳パンをかじっていると、突然、電気がバチバチと点灯して電気が消えました。
私は電気ストーブの灯りを頼りに、電気をつけようと、スイッチを押すのですが、全く電気がつきません。
リビング扉の曇りガラス越しに確認すると、リビングの部屋の灯りも消えているようでした。
私は、停電した可能性に気づき、妹に声を掛けに行こうと思ったのですが、静かなパソコンからこぼれる背筋の凍る声や音、それからブルーと赤の光が怖くて、妹に声を掛けるのをやめて、ブレーカーのスイッチを上げに洗面所に向かいました。
洗面所について、いつもの癖でにスイッチを押すと、普通に電気がついて、停電していないことに気づき、私は何となく起きていてはいけない気がして、自室に戻ろうとしたのですが、電気ストーブが気になって、リビングの隣の部屋に戻ると、電気は普通ついていていました。
電気とストーブを消して、歯磨きも諦めて、自室に戻り、ベットに入り、なんとか眠った私は、何事もなく朝をむかえます。
翌日、リビングに向かうと、まだそこで妹は眠っていました。
起こすと、真っ青な顔で、こう言いました。
「気を失っていた」
昨晩妹が観ていたサイトは、動画を観ると必ず心霊現象が起きると話題のサイトだったようで、妹は動画を観ていたら、電気が点灯して、消えて、自分の前におかっぱの日本人形のような女の子が表れて、徐々に近づいてきて、呪われると思った瞬間に気を失ったことを打ち明けてきました。
夢でも見ていたのだろう?と話題をそらしたのですが、停電したと思っていた昨晩、部屋の中でゆらゆらと動いていた電気ストーブの灯りを思い出して、薄ら寒くなった私はその後、自室で勉強をするようになり、その出来事をきっかけに妹は夜中にインターネットでホラーサイトを観ることをやめたようです。
著者/著作:怪文庫【公式】(Twitter)