これは、私の友人が体験した話です。
友人は、とあるバントの追っかけをしており、都内のライブ会場(小規模)に頻繁に足を運んでいました。
そのバンドには、ファン同士のコミュニティがいくつかがあり、彼女もその1つに所属していたそうです。
コミュニティ同士はつかず離れずの距離感、相手の動向を気にしながらも、顔見知り程度で、言葉を交わすことは今まで一度もなかったそうです。
そんなある日、ライブ会場を訪れていた友人に別のコミュニティの2人組が親しげに話しかけてきたそうです。
「久しぶり!この間は楽しかったね!」
友人は、びっくりして返答に困ったそうです。
なにせ、まったく身に覚えがなかったから。
声をかけてきた2人組のことは、言葉は交わしたことはないけれど、顔は見知っており、他の誰かと間違えるはずもありません。
ましてや、友人は、その2人組と一緒に楽しんだとされるライブには用事があり、当日は不参加だったとのこと。
2人組も友人の対応に困惑し、「この前のライブ会場で・・」と友人らしき人物とのエピソードを話してくれたのですが、まったく記憶にないので苦笑いをしていたら「この間は、あんなに楽しく話したのに!なんなの?」と憤慨しながら、2人組は友人の元を去ったそうです。
その2人組曰く、友人と背格好も顔も声もそっくりな人物とライブを楽しみ、その後、飲みにも行ったとのこと。
後日、同じコミュニティのライブに参加していた別の知人に、当日のことについて聞いたらしいのですが、そのような人物は会場には見当たらなかったと話したそうです。
会場自体は、小さかったので友人に似た人物がいれば、ひと目でわかったはずとのことでした。
友人はそんな珍しいこともあるのだな~程度の認識で、その出来事も忘れ、四国の実家に戻って、数年後。
今度は、一緒に勤めている同僚から「この間、●●付近を運転してなかった?手を振ったけど、わからなかった?」と友人とまったく同じ車種(色も一緒)に乗った、友人にそっくりな人物を見かけたとの話をされ、ライブ会場での話を思い出し、そんな偶然もあるのだなと思ったそうです。
そして、それから更に数年後。
友人が旦那さんと家に一緒にくつろいでいるときに、旦那さんの弟さんから、「今、●●付近を運転してなかった?合図をしたけど・・」と連絡が入ったそう。
その時も、友人とまったく同じ車種(色も一緒)に乗った、友人にそっくりな人物とすれ違ったとのこと。
友人もここまで続くとさすがに怖いなと感じ、誰かに聞いて欲しいと私にこの話をしてくれたのでした。
著者/著作:怪文庫【公式】(Twitter)