怪文庫

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縁切り神社

私が23歳の頃、婚約していた男性と別れ傷心状態の時友人のススメでマッチングアプリを利用しました。


マッチングアプリを始めてすぐに、数名の男性とお会いし意気投合した方が沢山いらっしゃいました。

 

その中でも1人群を抜いて気になって仕方ない方がいらっしゃり何度もデートやドライブなどを重ね自分の中で『好き』という気持ちが確信に変わりました。

 

でも告白するにはまだ早い、と思いその後もお泊まりデートなども重ねていたある日向こうから『好きです』と告白されました。

 

嬉しい気持ちでいっぱいでしたが、少し考えたかったのでその日は返事をせず少し考えさせてと伝えて解散しました。


すると次の日普段連絡をとっていない友人からいきなり『縁切り神社に行こう』と誘われました。

 

年に1.2回しか会わない友人でしたが珍しいなと思い承諾。すると友人は『明日がいい!!』と何故かゴリ押しをしてきました。

 

たまたま次の日は、仕事がイレギュラーで急遽休みになり予定が空いていたので次の日に行くことになりました。


縁切り神社はかなり有名な神社で、縁切りに関して怖い口コミも沢山ある神社でした。


当日昼から友人と合流し、車で向かっていたのですがいつも混んでる道も全く混んでおらず信号にも一度も引っかかることなく目的の神社に到着。

 

友人と『招かれてるんちゃうか……』なんて笑い話をしていました。


神社についてからは一通り神様に挨拶をして、願いを札に書いて貼り付け、その神社の御参り方法にそって御参りをしました。

 

私は得に切りたい縁などなかったのですが、『もし○さんが私の運命の人じゃないならこれ以上関わりを持たなくていいようにしたい。そして運命の人に出会わせて欲しい』と、気になっていた彼に付いてと今後の自分の幸せを神様にお尋ねするように祈りました。

 

 

それから数日後、彼とお出かけデートをする予定があったのですがデート前日に彼は車で事故をし、車は原型が分からないほどの悲惨な状態に。彼は骨折をししばらく入院することになりデートは延期になりました。


その話を一緒に神社に行った友人に話すと、『そんなすぐご利益ないやろ〜』とわらっていましたが、私は少し怖くなっていました。

 

私は普段全く神様など信じないのですがこの時は『ヤバいお願いをしてしまったのかもしれない』と少し後悔の念に駆られました。


彼が入院中は、ちょうどコロナ禍でもあったので面会も出来ず毎日LINEでのやり取りをしていました。


そして彼が退院し、改めてデートの約束をしました。しかし何度約束をしても、私が仕事で残業になったり急な休日出勤になったり、彼が肺炎になって再度入院したりとデートのリスケが10回ほど続き、私の気持ちは少しずつ冷めていきました。

 

そんなある日、約束もしてなかったのですが彼から急遽会いたいから今から会いに行くと連絡が入り会うことになりました。

 

今から向かうという連絡がきていつも彼の家かは私の家までは20分ほどで着く距離なのですが1時間経っても連絡も取れず…

 

少し会うのを楽しみにしていた私はイライラし、そのイライラを発散したいなと思っていた矢先、同時期にマッチングアプリで出会って少し絡んでいた方から『今から会える?』と連絡が入り、元々待っていた彼とは連絡が取れなかったので、もう1人の彼と会うことになりました。

 

この彼とはこの日が初めての顔合わせでした。

 

もう1人の彼とはすぐに意気投合し、初対面とは思えないほどの心地の良さで自然と私は、こういう人と結婚したら幸せなのかな、なんて呑気に考えていました。


元々気になっていた彼が今から向かうと連絡を最後に音信不通になっていたのですが、3日ほどたった時、Instagramに知らないアカウントからDMが届きました。

 

アイコンを見ると音信不通になっていた彼の写真が載っており、Instagram教えてないのにな…と不審に思いつつもDMを開くと『はじめまして。○(彼)の嫁です。うちの旦那がお世話になっております。』という挨拶の文と共に、彼は女癖が悪いこと、子供がいるにも関わらず半年家に帰っていないこと、多額の借金があること、前科持ちであることなどが書かれた内容のメッセージでした。

 

勿論既婚者であること、子持ちであることを知らなかったことに奥様に伝え、今後連絡を取らない、会わないことを約束し彼のLINEはブロック、電話も着信拒否をし関係を終わらせました。


そしてその数分後、意気投合していた彼から急に会いたいと連絡が来てそのまま会うことになりその日に告白されお付き合いをはじめました。

 

その彼は今では旦那さんで、とても幸せに暮らしています。


ですが時々、あの時友人に縁切り神社に誘われなかったら、あの時お願い事をしなかったら私はただの不倫相手になって大切な20代を台無しにするところだったなしみじみ思っており、あの時の友人には感謝をしています。

 

それと同時に、あの時の彼の事故、骨折、繰り返す入院は神様の仕業だと思うと、軽い気持ちで縁切り神社に行くのはとても危ない事なんだと実感しました。


誘ってくれた友人に先日一連の話をしたところ、『実は、誘う前の日にアンタが借金地獄になる夢みてん。めっちゃリアルでこれはやばい!なんかわからんけどやばそう!!』と第六感が働いたのだと教えてくれました。


第六感や神社などは一切信じてなかったのですがこの件を境に少し信じるようになりました。

 

著者/著作:怪文庫【公式】(Twitter