怪文庫

怪文庫では都市伝説やオカルトをテーマにした様々な「体験談」を掲載致しております。聞いたことがない都市伝説、実話怪談、ヒトコワ話など、様々な怪談奇談を毎週更新致しております。すぐに読める短編、読みやすい長編が多数ございますのでお気軽にご覧ください。

怪文庫

待ち合わせ

これは職場の同僚Mさんから聞いた話です。

 

私の同僚Mさんが、昔不動産で働いていた時に体験したというゾッとしたお話です。言わずともがな事故物件のお話です。

 

その物件は事故物件ではありますが、都内一等地にあり立地が良く格安というのもあって割と内見の申し込みが多いマンションだったそうです。

 

内見当日、駅近でわかりやすい場所にあるというのもあり直接現場でお客様と待ち合わせすることになっていたそうです。


その日本当は違うスタッフが内見に立ち会う予定だったそうですが、本来行くはずだった先輩が前の現場がおしてしまったそうで、お客様が先に到着してしまうとまずいからとMさんが急遽代わりに向かい、後で先輩と合流することになりました。

 

そしてMさんは鍵を預かり一人で現場に向かいました。

 

なんとか待ち合わせの時間にも間に合い現場のマンション前に到着した時、Mさんは気づきます。


そういえばどんな人が来るのか焦って聞くの忘れたなと。

 

そんなことを思いながら少し緊張しつつもお客様を待っていると、知らない番号から一本連絡が入ります。


電話に出てみると年齢は若そうな可愛らしい声の女性からの電話だったそうです。

 

『今日内見を申し込んだ者ですが、少し待ち合わせの時間に遅れてしまいそうです。だけどもうすぐ着きますので…』と。

 

どんな人が来るのかMさんは内心ヒヤヒヤしていましたが、歳も近そうな、感じの良い女性からの電話だったので、声を聞いてその時はなんだかホッとしたそうです。


だけど電話を切った後ふと思ったそうです。


そのマンションはファミリータイプ向けの間取りで部屋数も多かったのでその物件を希望するには若すぎやしないかと。

 

そんなことも考えつつ、少し先方が遅れるならとりあえずお客様が来るまで自分も部屋を見ておこうと思い部屋に入ったそうです。


そこは割と高層のマンションで部屋は最上階、見晴らしの良い部屋だったそうです。

 

一通り部屋を見渡していると、バルコニーがついてるリビング部屋の大きな窓が空いているようで風がファーっと入ってきました。


Mさんは思いました。あれおかしいな、まだ誰も来てないはずなのにな、誰か換気のため窓開けておいてくれたのかなと。


そんなことを思ってると先輩から電話が入ります。

 

先輩『お客様がもうすぐ到着するって連絡が入ったんだけど、近くにはいるみたいなんだけどなんだか迷ってるみたいなんだよ、ちょうど俺と合流できそうだから先部屋入って中確認しててくれるかな』


Mさん『はい、今もう部屋にいます。さっき私にもお客様から連絡がきて少し遅れるけどもうすぐ着くっておしゃってました!』


先輩『え??僕〇〇の連絡先教えてないけど‥!?』


Mさん『え!?でも若い可愛らしい感じの女の子から連絡きましたよ!』


先輩『今日内見希望されてるお客様は中国人ご夫婦だよ‥だから地理があまり詳しくないから迷っちゃってるみたい。子供もいないみたいだし旦那様しか日本語話せないから女の子から連絡くるはずないんだけどな、、、』

 

え?じゃあ私に連絡してきた人は誰?


恐る恐るかかってきた番号に掛け直してみら『この番号は現在使われていません‥』のアナウンス。

 

 

その後先輩とも中国人ご夫婦とも無事合流し、お部屋の案内をしたそうです。


そしてその時Mさんは見つけてしまったそうです。バルコニーになぜか椅子があったことを。


他のものは綺麗に片付いてるのになんで椅子だけ残ってるの??

 

無事内見も終わり何も知らなかったMさんは、先輩にこの部屋で亡くなった方はどんな方だったんですかと聞いてみたそうです。

 

先輩『20歳くらいの女の子だったみたいだよ、両親が旅行で留守にしている間にバルコニーから飛び降りたみたい』


Mさん『‥先輩、実は私が先に部屋に入った時にリビングの窓開いていたんですよ、あれって先輩があらかじめ開けておいてくれてたんですよね?』


先輩『いや、俺開けてない‥』


Mさん『‥見ました?バルコニーに椅子ありましたよね?』


先輩『うん、あったね‥』


二人(鳥肌‥!!!)


先輩『えっ、そういうこと??』


Mさん『‥はい、おそらく、、』

 

もしかするとMさんの電話に着信があった時間はその女性が飛び降りた時刻だったのかもしれません。

 

という話です!!!

 

Mさんは元々霊感が強い方でちょくちょく心霊体験をされているそうですが、その中でもかなりゾッとしたエピソードだったそうです。


聞いた時私もかなりゾッとしました。


だけどいまだになぜ窓が開いてたのかと、バルコニーに椅子があったことは謎だそうです。

 

Mさんは心の優しい方でとっても素敵な方なのですが、その亡くなられた方も霊感がある優しいMさんに少しでも存在を気づいて欲しかったのかなと今となっては思います。

 

ともあれ内見にいらした中国人ご夫婦ですが、とてもその物件を気に入ってくれたそうで事故物件のこともまったく気にせず風水的に最高の部屋だ!とその後すぐに契約してくれたそうです。


中国の方らしいエピソードです。

 

そんなMさんはどんな仕事でもそつなくこなせるいわゆる「しごでき女子」ですが霊感体質がゆえに『不動産の仕事は今までで一番続かなかったー笑笑』と言っていました。

 

そして最後にその事故物件はいまだ取り壊されず今でも存在しているそうです。

 

著者/著作:怪文庫【公式】(Twitter