私が実際に経験した話です。
私は高校生の頃、コンビニでバイトをしていました。
オープニングスタッフで集まったのは中年のおばさんも多かったのですが、それと同じくらい高校生のバイトもいました。
しかし、変わった人達が多くて、自己紹介で精神疾患を抱えていると話していた人は初日の午前中で姿を眩ましたり、2日目には同じバイトの女の子に手を出した男子高校生がクビになったりと前途多難なスタートを切りました。
バイトの面接に母親を連れて来る男子大学生もいたりなど、本当に変わった人が多くいたのですが、その中でも印象に残っている人がいます。
彼女は私の2つ年上の女子高生で、笑顔が可愛くて礼儀正しく、接客態度もよかったのですが、一緒に働き始めて1年が経とうとしていた時に徐々に様子がおかしくなってきました。
私がバイト中、レジに立っていると、バックヤードにいたその女子高生が「ひやーー!!」と大きな超え出奇声を上げていたのが最初に感じた違和感でした。
初めは何かハプニングが起きて驚いているだけかと思っていましたが、お客さんが多くなり、レジに入って欲しいと呼びに行くまで奇声を発していました。
そのことは店長やオーナーには黙っていたのですが、数日後、私とおばさん、その女子高生とシフトが一緒の日がありました。
私は商品補充を行っていたのですが、レジにいた2人の間で怒号が聞こえて来たのです。
そのコンビニはパチンコ屋や飲み屋が近くにある事もあり、たまにガラの悪いお客さんが来ることもあるので、そんなお客さんがレジにいる店員にクレームを入れているのだろうと思いながら、レジを覗きました。
すると、女子高生がおばさんに「貴様!許さないからな!絶対許さないからな!」と凄い剣幕で怒鳴っていたのです。
私が圧倒されながらレジに行くと、女子高生はバックヤードに入って行きました。
おばさんに何があったのかを聞くと、2人で世間話をしていたら突然許さないと怒鳴られたそうです。
その会話に怒らせるような事は何も言っていなかったといいます。
それからしばらくしてバックヤードから女子高生が戻って来たのですが、さっきまでの事が無かったかのように笑顔で私やおばさんに話しかけて来たのです。
私はおばさんとその様子に「え?」と驚いた顔で目を合わせたのですが、女子高生も「え?どうしたんですかー?」とキョトンとしていました。
しかし、私がバイトに入っていない時もその女子高生は急に奇声を上げたり、怒鳴ったりする事が多かったらしくて、次のシフトに入った時に私は店長に呼ばれて話をしました。
話題はその女子高生についてでした。
店長もその女子高生の対応には凄く悩んでいる様子で、私にこんな事を聞いて来ました。
「他の従業員の迷惑になっているからその女子高生に辞めてもらおうと思っているんだけど、どう思う?」と。
私は決定権が無いし、何を言えばいいのか分からずに困惑するしか無かったのですが…。
それから数日経ったある日、その女子高生がシフトが入っている日にバイト先に両親を突然連れて来たのです。
そこにいる従業員はみんな面食らっていましたが、店長とオーナーに大事な話があると言って、女子高生は両親も連れてバックヤードに入って行きました。
その日は買い物客も少ないこともあったし、裏で何を話しているのかもちょっと気になってた部分もあり、私も何回かバックヤードに行ったのですが、その時本人では無く両親が「本当なんです!信じてください!」と頭を下げながら店長とオーナーに懇願していました。
何か異様な雰囲気を感じながらも私は自分の仕事をしながらシフトの時間をやり過ごしていました。
2時間ぐらい経った後に女子高生と両親がやっと出て来て、店長とオーナーにお礼を言い、お店を出て行きました。
その後私は店長から呼び出されて、その家族から聞いた衝撃的な話を聞かされました。
なんでも女子高生が両親を連れて来たのは人を傷つけてしまわない為だったというのです。
店長が言うには、その女子高生は突然キツネに取り憑かれたと話していて、両親もそれを信じており、奇声や罵声は自分の意思では無く、取り憑いたキツネが言わせていると言っていたそうです。
そして、除霊に行っているけど、憑いているキツネの念が強くて、このままの状態だと人に危害を加えてしまう可能性が非常に高いからここでは働かされません。と言われてしまったそうです。
なので、その女子高生はその日の内にバイトを辞める事になりました。
後日談ですが、店長の元に女子高生の母親から電話がかかって来て、「私もキツネに取り憑かれました。この家にはもうキツネの魂が渦巻いているので、家族みんなでどこか遠くに行って来ます。店長さんもキツネには充分気をつけてください」と言われたそうです。
それ以降その家族、女子高生からの連絡は無かったみたいですし、私も見かけることも無かったのですが、あの話をはなんだったんだろう?と今でも不思議として残っています。
著者/著作:怪文庫【公式】X(旧Twitter)

