怪文庫

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恐竜がいた時代

今から5年ほど前祖父がこの世を去りました。

 

祖父には弟さんがいらっしゃり、その弟さんからいろんな話を聞かされました。

 

第二次大戦中、南太平洋に送られた祖父はそこで米軍と戦ったことを聞かされました。

 

祖父はそういった話をするのが嫌いだったようですが、弟さんには何回か話をしていたといわれています。

 

祖父はその南太平洋で多くの怪現象を目撃したり、恐ろしい戦争独自の狂気じみた行為をみたり聞いたりしたと弟さんから伺いました。

 

そこでさらに祖父のお父さんは面白い話をしてくれました。

 

「あのね、M君…私の兄はね…恐竜をみたことがあるんだよ。」

 

私はびっくりしました。

 

自分は恐竜が昔から好きで、祖父もそれを知っているはずなのですが…。

 

そういったことを祖父は話しませんでした。

 

祖父はある日、基地の周辺の夜間パトロールにいきました。

 

いくら日本側に大義があれど、現地の人間はよくおもっていないものもいたらしく何回か基地の近くで放火騒動があったといわれています。

 

祖父は南太平洋のジャングルをみまわりしながら、ふと何か大きな物が動いていることに気づきました。

 

それの大きさは戦車に近かったといわれています。

 

「敵襲だ」

 

祖父は急いで仲間にしらせました。何名かの兵士がかけつけ、様子をみました。しかし、よくみるとそれは…戦車ではなかったのです。

 

祖父はこれが生き物だと確信しました。

 

姿かたちはまるで二足歩行で動くワニそのもので、全長は10m前後ありました。

 

「どうする」

 

祖父が同僚の兵士たちと話し合っている内に、そのワニのような生き物はジャングルの中へと去っていきました。

 

その日はそれで終わりましたが、それから数か月後米軍が本当に攻めてきました。

 

基地は壊滅で、米軍の圧倒的な戦闘力の前ですべては蹂躙されました。

 

祖父と仲間の兵士たちも何とか逃げだし、洞穴に隠れていました。

 

祖父たちは「米軍をやっつけよう」と装備を整えると、逆襲ののろしをあげようとしました。

 

しかし、洞窟の中に何か大きなモノがうごめいていたのです。

 

祖父はわかりました。以前にみた「ワニに似た怪物だ」と。

 

それは大きなうなり声をあげると、まず隊長を襲いました。

 

祖父たちは応戦しましたが、仲間のほとんどが殺され祖父は命からがら逃げてきました。

 

その後、祖父と生き残りの数名は何とか米軍に降伏しました。

 

やがて、祖父とその生き残りたちは「日本軍の名誉にかけてもこのことは誰にも話すな」と誓い合い、祖父は今日まで生きてきたのです。

 

 

しかし、祖父はその死の間際弟さんにとうとう話してしまったといわれています。

 

それが果たして本当だったのかどうかは定かではありません。

 

もしかしたら無能な上官を殺して、止めるためにでっちあげた嘘なのかもしれません。

 

ですが、僕は一つだけ覚えがあります。それは、祖父と「ジュラシックパーク」をみていたときのことです。

 

祖父はティラノサウルスに捕食される弁護士のシーンをみて、少しだけ悲しそうな顔をしていました。

 

もしかしたら祖父の言っていたことは本当だったのかもしれません。

 

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