怪文庫

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呪いの宅配便

夜10時「当選おめでとうございます」とメールが届きましました。

 

「お申し込みの商品が抽選の結果当選いたしました。商品をお受け取りください」

 

という内容です。

 

私は何かに申し込んだ記憶もないので、詐欺メールだろうと思ったのですが「今すぐ連絡してください」のたぐいのURLも付いていないので、単なるいたずら?と思いました。

 

その後、チャイムが鳴りました。


「宅配便です」


インターホンのカメラには若い男性が映っています。

 

こんな時間に配達?と思いながら玄関に出ると誰もいません。荷物もありません。

 

いたずらメールにいたずらチャイム。


なにか気味の悪い夜です。

 

翌朝、妻と娘に夜遅くに宅配便が来たけど誰もいなかったことを話したら、娘が「その前にメールなかった?」って聞いてきます。


「よくわかるね。当選しましたってメールが、、、」話し終える前に、


「パパ、何回目のピンポンで出たの⁈」


娘は慌てて聞いてきます。

 

「何回目⁈」


一回目のチャイムで出たというと「よかったぁ」と安心している様子です。

 

「呪いの宅配便」の話は小学校では知らない人はいないくらいで、毎日「〇〇さんところに宅配便きたらしい」と話題になるそうです。


娘の話しはこんな内容でした。

 

宅配便の男はチャイムを鳴らしてもなかなか出てこなかったり、あげくは居留守する家もあったりイライラがつのっていたそうなんです。

 

ある晩、居留守されたことに頭に来て運転に集中できずに、赤信号を見落としてしまいます。

 

通行人を避けた拍子に電柱に激突して宅配便の男は死んでしまったそうです。


それから男の呪いが始まります。

 

当選メールを開かなければチャイムはなりません。


メールを開いたら一回目のチャイムで出れば、何事もないそうです。今回の私がこのタイプてす。

 

二回目のチャイムで出た時。娘のクラスメイトのお母さんがこれにあたります。


自転車を乗っている時に路地から急に出てきた車に当たりそうになって転倒してヒジと膝をすりむくケガをしました。

 

 

三回目のチャイムとなると呪いはかなりヤバイみたいで大怪我になる可能性が高くなります。


6年生のお父さんが運転中に猫が飛び出て来たので急ブレーキをかけると後ろから来たトラックに追突され、ムチウチになりました。

 

そして、居留守。・・・死が待っています。


居留守を使った隣町の小学校のお父さんは子供の言うことを信じずに出かけてしまいます。


「大切な会議があるから休めないし、そんなの迷信だから大丈夫だよ」


ところが家を出た途端に脇見運転の車にひかれて死んでしまったというのです。

 

呼び出しに対して対応が遅ければ遅いほど、呪いは強さを増していきます。


男を怒らせると恐ろしい結末が待っているのです。

 

しかし呪いから身を守る方法もあるそうです。


二回目以降のチャイムで出た場合や居留守を使った場合、24時間家から出なければ呪いはとけるらしいです。

 

娘の話が終わると


「噂には聞いていたけど、本当にあるとは思わなかった」と言って妻がメールを見ます。


妻は普段LINE中心なので、メールの確認が遅れがちになるそうで、


「あっ!」


妻がスマホ画面を私と娘に見せます。


「当選おめでとうございます」の通知です。


「ダメ! ママ開かないで!」


妻は未開封のまま削除しました。


私たち三人はしばらく声が出ませんでした。

 

皆さん、当選メールを開封しないでください。


男がやってきます。


チャイムにはすぐに対応してください。


恐ろしい結末を迎えないように・・・

 

著者/著作:怪文庫【公式】(Twitter