怪文庫

怪文庫では、多数の怖い話や不思議な話を掲載致しております。また怪文庫では随時「怖い話」を募集致しております。洒落にならない怖い話や呪いや呪物に関する話など、背筋が凍るような物語をほぼ毎日更新致しております。すぐに読める短編、読みやすい長編が多数ございますのでお気軽にご覧ください。

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山の中の子供達

私は職業上よく山に行くことがあります。


いわゆる治山(山を治める)の仕事をしており、山で土砂崩れが起きないよう事前に防ぐことを目的とする仕事です。

 

同業者のAさんはかなり長くこの仕事に努めており20年以上も仕事をしている大ベテランです。


Aさんも山で不思議なことや時には怖いことに遭遇することが多々あるそうです。


聞いた話によると昔山道を車で走っていたところ、人の気配がないテントがポツンとおいてありました。


気になって車を止め、テントを覗いてみると男性が自殺していたそうです。


その男性は薬を大量に飲んで死んでいたそうですが、それ以来Aさんは山でテントを見つけると決して近づかないようにしているとのことでした。

 

そんなAさんとはよく一緒に現場に行って仕事をするのでその日も山道を走らせていました。


そんな時一台の車(白い大型車)が立ち入り禁止の看板がある近くに止まっているのを見つけました。

 

「こんな立ち入り禁止のところになんで車が止まっているんだ?」

 

その車が軽トラだったり作業用の車であれば私たちも何も思わなかったと思います。


しかしその車は家族全員が乗れるような大型車でした。


しかも車はピカピカで山道をよく走っている車は傷がついたり泥がついているのが普通なのでこの車は普段山道を走っていないことが明らかでした。

 

「こんなところで一体何をやってるんだ!?」


Aさんは山の怖さを知っているのでひどく怒っている様子でした。


恐らくですが、看板の隣に鍵のかかったゲートがあるため車で行けないと判断して徒歩で山の中に向かったようです。


私たちはゲート(仕事で山の関係者から鍵は貰っている)を開け山の中に車を走らせました。


しばらく走らせると山道沿いの川の近くにブルーシートをひかれているのを見つけました。


シートの上にはたくさんのバックが置いてありどれも小さかったため子供用のバック
であることは明らかでした。


全部で5~10個ほどです。


「もしかして子供を連れて山に来たのか川に流されたら大変なことになるぞ!」


Aさんは車を止めてシート付近に人がいないか探し始めました。


私も車をおりて探していると川の上流の方で子供の声がしました。


「子供の声だ!!」


Aさんが叫ぶと声が聞こえたほうに向かうと、、


40代くらいの男性が子供達(8人いて全員小学生くらい)を連れて川の上流に歩いていくのをみつけました。


「こら!こんなところで何をしているんだ!」


Aさんが叫ぶと男性はゆっくりとこっちを向き「こんにちは」とあいさつをしました。


「ここから先は危ない早く車に戻れ!あんたいったい何してんだ!」


Aさんが怒りました。すると男性は


「いやー景色が良いと思って子供達を連れてピクニックに来たんですよ」


男性とAさんが話しているのを聞きながら私は子供達を見るとひどく怯えた状態でした。

 

私は子供達にどこから来たの?今日学校は?など質問していると私の後ろにいた男の子が私の足をつんつんしました。


ふと振り向くと一枚のメモ用紙を持っていて折りたたまれたメモ用紙を広げてみると「た すけて」と書かれていました。


つかさず私は男性の頭を転がっていた石で叩きつけました。


男性は気絶して子供たちが一斉に


「うわーーー!!」「怖かったーー!!」


と泣き始めました。


その後警察を呼びわかったのですがその男性は小学校の先生で夏休みに課題のために学校に来ていた子供達をナイフで脅してそのまま山に連れ去ったようです。


なぜ男性は子供を山へさらったのか山で何をしようとしたのか私は未だにわかりません。

 

一つわかることは山はとても怖いです。


むやみに勝手に入らないようお願いします。

 

著者/著作:怪文庫【公式】(Twitter