この話は過去に私自身が実際に体験した話です。
大学に通っていた頃、人見知りな性格が災いしてなかなか大学で友人ができませんでした。
大体大学に入学して1ヶ月が経った頃、1人の青年が私に話しかけてきました。
その人を簡単に説明すると爽やかな雰囲気で結構社交的な感じの男性です。コミュ力も高くて色々と話を引き出してくれて結構短時間で仲良くなれました。
お互い一人暮らしをしていたこともあり、互いの家に遊びにいくことも増えました。
ですがそんな関係を続けていた時にちょっと不可解なことが起きました。
ある日、友人の家にアポ無しで遊びに行った時のことです。
知らない綺麗な女性が友人の部屋から出てきました。
一人暮らしをしていると聞いていたので最初「誰なんだろう」と驚いたのですが、きっとお姉さんか新しくできた彼女だろうと思い「誰ですか?」とは聞けず「何々君いますか?」とだけ聞きました。
するとその女性は「今はいません」とだけ言ってきたので「わかりました」と言って仕方なく帰りました。
後日、大学でその友人に会ってこの前家に行ったことを打ち明けると友人には姉も彼女もいないということが判明。
その時、ちょっと「おかしいな」と思ったのですが、別に怖いとかそんな感情は湧かずに何か思い違いだったのかなということで適当に済ませました。
後日、またふと友人の家に行きたくなって行くとまた前に出会った女性がドアから出てきたのです。
そこでまた友人の名前を尋ねると「今はいません」と以前と同じことを言われました。
ちょっと怖くなってその言葉には何も返さず無言で急いで家に帰り一人暮らしのアパートで気持ちを落ち着けて友人の携帯に電話をかけました。
「今どこにいる?」と友人に尋ねると「ずっと家いた」と返されてゾッとしました。
先ほど会った女性は一体誰だったのか本当に気になってしまい友人に「今から行く」とは敢えて告げずに再び友人の家に行き強引に部屋へと上がり込みました。
案の定、その女性はいなかったのですが、ちょっとクローゼットの中が直感的に気になってしまったので恐る恐るその中を確かめると美容師さんが練習するようなマネキンの首が一つ置いてありました。
その顔を見たら先ほど私が会った女性の顔とそっくりだったのです。
まさかと思いこのマネキンのことを詳しく聞いてみると「昔ゴミ捨て場に捨ててあって何故か拾ってきてしまった」と言われました。
もしかしたら、そのマネキンに魂が宿り自分の前に現れた姿が先程の女性だったのではないかと感じ背筋が凍りつきました。
著者/著作:怪文庫【公式】(Twitter)