怪文庫

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踏切の向こう側

K県。私の家の近所には踏切があります。

 

いたって普通の踏切なのですが、奇妙な噂が絶えないのです。

 

別にその踏切で事故があったというわけではないのです。しかし、いつの頃からか、奇妙な噂が広まり始めたのです。

 

その奇妙な噂とは、「電車が通過する瞬間、電車の車輌の隙間から踏切の向こう側ではなく、奇妙なものが見える」というものです。

 

なぜ「奇妙なもの」という曖昧な言い方なのかというと、人によって見るものが違うからなのです。

 

ある人の話によると、「海が見えた」そうなのです。また、別の人は「平原が見えた」と言うのです。もちろん踏切の向こう側に海も平原もありません。

 

この他に「人影が見えた」という人もいるのです。電車の通過した後、踏切の向こう側にいたはずの人影が消えた事に気付いた人が「電車に飛び込んだのでは」と通報したこともあったそうなのです。

 

しかし、その度に踏切の周辺を探しても何も出て来ないのです。

 

そんな事が何度も続いたため、この踏切は近所でも有名な場所となったのです。

 

かく言う私もその踏切で奇妙なものを見たことがあります。私の場合は踏切向こう側で、手を振っている人影です。その人影は電車が通り過ぎると消えていました。

 

もしかすると、その踏切は電車が通過するその瞬間だけ、別の世界に繋がるのかもしれません。

 

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