怪文庫

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キャンプ場にいる家族

私の両親はお気に入りのキャンプ場があり、私が5歳から8歳くらいまでのあいだ月1回のペースで行っていました。

 

基本いつも行くキャンプ場が決まっていて、そこに行くとよく出会うある家族がいました。

 

キャンプサイトは少し離れたところに設営しているようで毎回会うというわけではありませんでしたが、一度お菓子をもらったことがありよく覚えていました。

 

そこの家族は3人家族と犬1匹、子供は年上で12歳くらいでした。

 

私が大人になって、息子ができ、家族でそのキャンプ場に行きました。

 

行くと当時と同じようにその家族がいて、やはり12歳くらいの子供と犬がいるのです。

 

その時は当時の子供が成長して大人になって、私と同じように連れてきているのかと思い、微笑ましい光景に少し感動しました。

 

が、よくよく考えてみると、私の記憶の中で、5歳から8歳の間、その12歳の容姿がまったく変わっていなかった事を思い出しました。

 

そして今見ている子供の容姿がまさに「あの時の子供」に似ている。

 

ただ気になってはいましたが、記憶はあてにならないな!などと思ってその時は深く考えず過ごしました。

 

後日、実家に帰り写真を見返しました。

 

そのキャンプ場は決まった時間に広場でキャンプファイヤーをして記念写真を撮るのです。

 

その時の写真の中にその家族は写っていました。

 

5歳の時から8歳の時までその子供はずっと同じ服で写ってました。

 

身長は4年間、ほとんど変わっていないように見えました。

 

私の父は全くその家族のことを覚えていませんでしたが、母は少し覚えていたようです。

 

どうも私たちがそのキャンプ場に行きだして3年目の頃、その子に大きな怪我の後みたいなものが見えたそうで、記憶に強く残っているとのことでした。

 

しかし例えば11歳から14歳くらいであればあまり身長は変わらなかったり、キャンプの服は日常的に使うものでないから同じ服がずっと続いていたりするものです。

 

気にし過ぎたかと思っていましたが、私は自分の携帯電話をみてゾッとしました。

 

自分の携帯電話に写っていた先日のキャンプファイヤーの写真に、その家族が写っていました。

 

しかしその家族の見た目が30年前の写真と同じ顔、同じ年齢構成で同じ犬、そして同じ服なのです。

 

またインターネットで調べるとそのキャンプ場でその昔、野生の熊に追われて死亡事故が発生していたそうです。

 

当時の家族が襲われたのですが犬だけは逃亡したらしいです。

 

さて後日、改めてそのキャンプ場に行きました。

 

私は行き先を変えたかったのですが、まさか幽霊がいるとかは家族に言えるはずもなく、やや渋々同じキャンプ場に向かったのです。

 

到着するとその家族はおらず少し安心していましたが、到着してしばらく経った後、あの家族が飼っていた犬が、リードを加えて私の前を通り過ぎて行きました。

 

もしかすると、あの犬は今もあの家族とキャンプ場で暮らしているのかもしれません。

 

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