俺大学生なんだけど、大学の春休みってあほみたいに時間あるじゃん?
だから去年の春休みに、仲のいい友達AとBの3人で3泊4日のドライブ旅行をしたんだ。
あれは2日目に群馬でハイキングした時だった。
その日も3人で気ままにドライブしてたんだが、最近俺らあんまり体動かしてねーなって話になってさ、「だったら少し山ん中歩いてみるか」って運転してたBが言って、適当な所に車を停めて3人でハイキングと洒落こんだんだよね。
歩いてみると別にどこにでもあるような普通の山道だったし、変な気配とかも特には感じなかった。
あ、言い忘れてたけど俺ら特に霊感無いし、それまで奇妙な体験もした事ないよ。
それで30分程かけてようやく山の上にある近くの街を一望できるような見晴らしのいい場所に辿り着いたんだ。
俺達は呼吸を整えながら、並んでそこからの景色を眺めた。
こうして3人でどこだか知らない山に登って知らない街の景色を見て感慨に浸ってると、何だか今この瞬間が特別な感じがして思い出に残したいって思えてきた。
「なあ、せっかくだから写真とろうぜ」
俺がそう提案するとAもBも快くそれに乗ってくれた。
俺はスマホのカメラを起動するとタイマーをセットし、町の景色をバックに3人で肩を組んで笑った。
その瞬間、カメラのフラッシュが連続して10回くらい光った。
俺達は「うわっ!」とか「何だよこれ」とか言いながらカメラに視線を集める。
何がおこったんだか訳が分からなかった。
確か午後3時回った位だったし、大して暗くもなかったからフラッシュになるなんてそもそもおかしいな話だ。
何より連続で10位フラッシュするなんて明らかに普通じゃない。
手に取ったスマホは特には特に変わった所もなく、写真も今撮った1枚分が表示されているようだ。
何もおかしな所はないと思えた。
でも、俺が今撮った画像のサムネを押した時、撮れたらいけないものが照れてる事に気付いたんだ。
3人で撮った写真には、AとBに肩を組んで挟まれた俺が映っているはずだった。
でも、なぜか俺だけが映っていなかったんだよね。
それを見た俺は怖くなって問答無用でAとBの腕を掴んで一目散にBの車に戻った。
結局、俺達のドライブ旅行はそこで中断してしまった。
その後、少しその事が落ち着いて3人で飲んでいた時に「来年こそはリベンジしようぜ」ってAとBが落ち込んでた俺に言ってくれたんだけど、結局それは叶わなくなってしまったんだ。
AとBは先月、2人で夜道をドライブ中に飲酒運転してたトラックにに正面衝突されて死んでしまった。
今でも正直なんでこうなったのか訳分からん。
どうして俺じゃなくてあいつらが消えなきゃならなかったんだって。
きっと俺はもう一生、写真なんて取らないんだろうなぁ。
著者/著作:怪文庫【公式】(Twitter)