怪文庫

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ウサギさん

私は勤めていた会社で、奇妙な話を聞いた。


すぐに職員が辞めていく幼稚園があるのだという。


きっと、よっぽど園児のしつけが悪くて、手に負えないってことなのだろう。


とまあ、普通だったら、そう考えるよな。


でも、それがどうやら違うらしいのだ。


園児の態度に問題があるのではないとすると、他に原因があるのだろうか?


そう思って、いろいろ調べていくと、幼稚園の近隣住民いわく、なにかタブーのようなものがあるというのである。


ますます興味を持った俺は幼稚園を辞めたという女性にさり気なく話を聞いてみた。


口が堅くて、あきらめようかと思ったものの、何度も取材を重ねていくと、ようやく重い口を開いてくれた。


その人いわく、こんなうわさを聞いて、気味が悪くなって退職したという。


ある日、園で飼っていたウサギが死んでしまったのだとか。


しかも1羽ではなく5羽みんな。


これに気づいたある先生が園児たちに動揺を与えまいとしたのだが、みんないたって冷静だったため、違和感を覚えたという。


その後、先生はウサギを葬ろうとしたものの、なぜか、ウサギの死骸は5羽ともなくなっていたのである。


そばにいた園児たちに聞いてみると、みんな知らないという。

 

でも、おかしな話だよな。


先生が離れていたあいだ、ウサギのそばには園児たちしかいなかったのだから。


妙に思いつつも、先生も仕事の準備とかがあったので、それにとりかかり、ウサギの話は気がついたら忘れていたそうだ。

 

 

ところが、その日の給食の時、園児たちに異変が見られたのである。


異変があったのはウサギの死に遭遇した園児たち。


いつもははしゃいで給食を食べている園児たちだが、彼らは手を付けようとしないのだ。


先生はそこで給食のメニューを見てハッと気づいた。


いわゆるキャラ弁で、ウサギのキャラクターが描かれていたのだ。


これは偶然とはいえ参ったな、園児たちに悪いことをした、と思ったのだが。


給食を食べようとしない園児たちを見てみると、どうも様子がおかしい。


彼らはお腹を押さえながら、ゲップをしていたのである。


その時、ある想像から先生は血の気が引いて、めまいがしてしまったというのだな。


そう、あの5羽のウサギたちは、園児たちに殺されていたというものである。


しかも、みんなで食べるために。


以上は、あくまで女性が語った話である。


真実は分からない。


しかし、この話を聞いてからというもの、彼女は園児やウサギがさっぱりダメになってしまったとか。


なかなか興味深い話だなと思って、私は女性に礼を言い、自宅に帰ることにした。


帰路、私は駄菓子屋のそばで小さな影を目撃した。


園児らしい。


その子の手には何か白い物体が握られているように見えた。


夕陽でハッキリ見えなかったのだが、あれはいったい、何だったのだろうか。

 

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