怪文庫

怪文庫では、多数の怖い話や不思議な話を掲載致しております。また怪文庫では随時「怖い話」を募集致しております。洒落にならない怖い話や呪いや呪物に関する話など、背筋が凍るような物語をほぼ毎日更新致しております。すぐに読める短編、読みやすい長編が多数ございますのでお気軽にご覧ください。

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クシャクシャ

つい一昨日の話なんだけど。

 

その日はゼミの教授の話に付き合わされて遅くなり終電で帰ったんだ。

 

俺の家は田舎で合わせて終電という事もあって俺以外は車内に人は居なかった。

 

下車するまでまだ7駅もあったから揺られながらウトウトしてた。

 

が、気がついたらやけに寒い。クーラーの効きすぎかと思ったけど何かが違う。

 

そしてその時気づいたんだがさっきからスーパーの袋をクシャクシャに丸めるような音がする。

 

その音が頭上近くから聞こえると気付きふと上を見ると荷物を載せる網棚に誰か寝転がってた。

 

俺が座ってたのは出入り口のすぐそばの補助席に座ってたんだが奴は向いの補助席の真上で覗き込むように網棚に体を横たわらせてニタニタと笑っていた。

 

ボサボサの髪に顔が紫がかった土気色で皮膚はひび割れ男か女かも若いのか老いてるのかも分からなかも分からなかった。

 

聞こえていたクシャクシャという音は奴が吐息交じりの声だった。

 

奴の目は俺には向いていないが忙しなく動いている。

 

コイツと目を合わせちゃいけないと本能で感じたが俺は眼を逸らす事が出来ない。

 

なぜか目の動かす方法を完全に忘れていた。

 

逃げようにも最後尾の車両で逃げるには奴の横を通るしかない。もう俺はパニックだった。

 

相変わらず奴は「クシャクシャ…」と聞き取れない言葉を発しながら黄ばんだ目玉をギョロギョロさせてる。

もう精神的に限界になりそうな時、駅に着いた。

 

転がるように電車を飛び出したが目の端で奴がこっちを見たのが分かった。

 

二駅分自宅まで歩く羽目になったが奴と同じ空間に居る方が俺には耐えられなかった。

 

ところでさっきから隣の部屋からクシャクシャ音がするんだけど猫が遊んでるだけだと信じたい。

 

著者/著作:旧2ch掲示板(出典)