よく化け猫が出た話は聞きますよね。
ではなぜ動物たちが魔物になるのか・・・。
これは母が小さい頃に体験した話です。
母は北海道の開拓移民として来た両親の元に生まれて宗谷岬の周辺に村がありそこで育ったそうです。
けして裕福ではなったですが、海や山があったので食べ物には困らなかった。
家には沢山の動物たちがいました。
牛、馬、ニワトリ、うさぎ、犬、猫など。時には彼らの命をもらう事もあったみたいです。
そして猫は三毛猫と黒猫がいました。
黒猫がとにかく賢く、人間の言葉がわかっているかのようので母は猫が好きだったけど見つめられたりすると怖さもありました。
ある日、その黒猫が子供を産みました。
今みたいに保護センターや里親探しとかそういう概念がないのでどうしていたのかというと、川から目も開いていない内に投げ捨てるのです。
目が開かない、生まれたばかりだと苦しみも少なくてすむという人間のエゴでしかないですが、当時は生活があります。
猫が子供を産んだところで肉になるわけでもないのでそうするしかありません。
母の兄と、母が投げ捨てる役割を担っていたらしく、母はそれが毎回苦痛で仕方なかったと。それはそうでしょうね。
可愛いまだ生きて暖かい子猫を投げ捨てるんですから。
母の兄が、黒猫の子供を投げるのが本当に嫌で、どうしてもできなかった時に箱に入れて川に流した時がありました。
大人ならその後どうなるかはわかります。
流されても段ボールだと沈みますよね。
結果余計に苦しませて死んだと思います。
2人が学校の帰り道に川に目が行って、川岸に黒猫がいました。
何かを必死で舐めています。
近づいてみてみると、母の兄が流したはずの子猫の亡骸を必死で舐めていました。
黒猫と目が合った時に、2人は金縛りにあったかのように動けなくなりました。
言葉は発しない分憎しみの籠った目をして黒猫はその場を去ったみたいです。
その日から黒猫は姿を現す事はなくなったそうです。
昔ですから、今みたいに探すこともしないし、母の両親は熊か狐にでもやられたかなと思って深くは追求しなかった。
しかしその後母の兄はあの時に見つめられた目が忘れられなくて夜寝ている時に黒猫の恨みが籠った目に見つめられるような感覚がして金縛りになり猫の恨みの声がずっと聞こえて寝付けなかった日々を過ごしました。
心の中で必死に(すまない、ごめんなさい。苦しめるつもりはなかったんだ。本当にごめんなさい)と、川に行って子猫たちを土に埋め直して謝った。
1週間経った時にその目が消えて最後猫の鳴き声がして許しを貰えたんだそうです。
それ以降は猫の怨念に苦しめられることはなくなったそうです。
猫の怨念が生まれるのは結局人間がそうさせているんだなと思います。
猫だけじゃなく、動物を粗末に扱うと必ずしっぺ返しがきます。
猫の中でも黒猫は一番感受性が強く自頭が賢い。動物を扱う時は十分に注意をし、愛情を持って接してください。
著者/著作:怪文庫【公式】(Twitter)