私が小さい頃住んだいた場所に六角堂という場所があります。
誰がたてたかわからないその塔のような場所は六角に成り立つところこら六角塔と呼ばれており、粗末な階段がずっと上に続いて頂上では風景が楽しめるというものでした。
父の昔の散歩道だったそこは私が産まれてからはいつも私と父の散歩道でした。塔は茶色くこけがついており数十年前からのものでした。父に散歩中これは何?と聞くといつも、
「ただの塔だよ。行政が立てたんじゃないかな?まぁ景色見るためみたいなやつだよ」といつもそっけなくこたえていました。
ただいつもそこを通るたびになぜか塔の中から女の子の声が聞こえていました。
あそぼ、とか、誰かいるの?とか。
塔は3畳くらいの円形のためとても人がいるとは思えません。ただ何故だか子供の頃はそこを通る時が非常に怖い思いをしたのを覚えています。
六角塔からとおりすぎしばらくすると私の家が見えます。当然六角塔から家を見ることもできます。この地区が六角塔から全て見える。そんな気がしていました。
小学生になり、父の散歩はなくなり、六角塔に行くことはほとんどなくなりました。たまに友達と遊ぶためのショートカットでそこを通ることがあるくらいでした。
年齢のせいかあまり怖いとかはなくなり、声も聞こえなかったと私は六角塔をあまりきしていませんでした。
中学生になり、さらに六角塔については何も感じていなかったのですが、隣町から引っ越してきたB子ちゃんにあって事態がかわっていきました。
B子ちゃんは隣町から父の仕事の関係で越してきました。色白で真面目な彼女とはすぐに仲良くなりました。お互い進学を希望していたため、二人で塾に通うことにしました。
塾はあの六角塔をとおりぬけて10分のところです。
塾に通い始めて1か月がすぎた頃B子ちゃんからいわれました。
ここも六角塔あるんだね?
私は驚きききかえました。他にもあるの?
B子曰く六角塔は隣町にもあるそうで同じように茶色の塔とのこと。
私は何故かこれが偶然には感じませんでした。
B子に隣町の六角塔に案内してとお願いしました。
次の日B子と隣町で六角塔にいきました。
全く同じ塔で驚きました。
B子は小さい頃ここを通るのが嫌だったこと。
また、小さな女の子の声が聞こえていたことをはなしました。
私はどうしても気になりB子と六角塔について調べることにしました。まず父や母にきき、市役所にいきました。
土地の所有者及び塔の所有者はわかりませんでしたが市役所の方にC子さんという同い年の子が六角塔について調べているとききました。
私達はC子さんを訪ねました。C子さんは私たちの話を黙って聴いたあと話はじめました。
私も小さい頃からあそこは怖い場所でした。寒気と女の子の声がしていた。ただ最初私は気にしていませんでした。しかし、わたしには二つ年上の姉がいました。その姉も同じことを言っていました。
姉が六角塔近くの店にアルバイトに行くようになり、どんどん体調がおかしくなり、去年なくなりました。
あまりに不自然な気がしたため、色々調べました。ただ公には分からずおじいちゃんに聞いたら山の麓にある寺ならわかるかもしれないと教えられました。
私がてらを訪ねたところお坊さんから聞かされました。
あそこは戦後まもなく戦時に亡くなった子供のために建てられた塔だよ。
昔の地主さんが寄付してあの塔を立てた。あの塔は6個の街に一つずつ建てられている。昔は供養するため花屋、御供物などをしたものだ。
ただ、しばらくして高度経済成長で街も変わり、家やビルができた。
昔住んでた人は移住していつしか六角塔はただの物見櫓になってしまった。塔の中には戦時の子供達の骨が眠っている。ちゃんと供養する気持ちで通れば何も恐れることはない。
そうC子はB子と私に教えてくれました。
私は少し安心しましたがどこかまだ得体の知れない怖さを抱えていました。
ただそれからは気にしないよう心がけ勉強に励み進学しました。高校になると隣町だったため六角塔を通ることもなく私は大学そして社会人となりました。
社会人なった大事な人を見つけひさしぶりに実家に帰りました。結婚。私はこの上ない幸せを感じていました。結納を終えたあとお酒を飲んでる私たちは歩いて帰りました。
六角塔の近くを通ったはずなのですがそれはありませんでした。父曰く開発で撤去したようです。どことなく安心した私はふと他の街の塔がきになりました。
開発や老朽化によりB子やC子の街の塔も解体されたとネットにでていました。元気にしてるかな?卒業後一回も会ってないため少し寂しい気持ちになりました。
そんな中検索欄に六角塔の死体という検索ワードがありました。
何気なく押してみると六角塔の解体時に人骨が発見されたとのこと。お坊さんの話だと戦時中の子供と言っていたので気にせずスクロールすると人骨はC子の姉、C子、B子でした。
私は言葉を失いました。塔は入り口などありません。人骨を入れるなど不可能です。
私は怖くなりネットを切りました。
何が何が分からなく。次の日、あの寺にいきました。
お坊さんは、君だけが無事なのは、すまなかった。
あの塔は昔多数の子供が神隠しにあったため僧侶達によって建てられたお祓いの塔だと。
声が聞こえるのはまずい状況であり、取り憑かれかかっているため、波長を合わせないようするため、嘘の話をして気にしないようにしたとのこと。
塔が無くなったいま私は寺の閉ざされた一畳間にずっと座っています。
いつからかいつ出れるのかもうわかりません。
著者/著作:怪文庫【公式】(Twitter)