4人目の真相

私が大学生のときの話です。

 

私の彼氏がオカルト好きで、当時流行っていた肝試しをしたいと突然言い始めました。

 

場所は大学から少し離れたところにあるトンネル。

 

そこでは丑三つ時に1人で歩くと異世界に連れていかれるといった話や、1人で歩いているはずなのに誰かにずっと見られているような気がするといった話がありました。

 

当時の私はオカルト系は苦手だったため、断固拒否しましたが、その場にいた友人カップルもノリノリで、結局断り切れずに4人で肝試しに行くことになりました。

 

買ったばかりの彼氏の運転でそのトンネルに向かうのですが、私以外は全員テンションMAX。

 

私だけが一人テンションが下がっていました。

 

トンネルに到着したのは深夜の2時。

 

私は全員でトンネルに入るものとばかり思っていたのですが、突然友人がこう言い始めたのです。

 

「1人1人トンネルに入って奥まで行って、行った証拠にトンネルの向こう側の景色を写真に撮って来ようよ!」

 

私はほぼ泣きながら、もちろん反対したのですが、他の3人は大賛成。

 

結局そのままその案が採用されてしまいました。

 

まず私の彼氏がトンネルに入っていきました。

 

10分待っても20分待っても帰ってきません。

 

トンネルの中は真っ暗で手前は少し見えるものの奥は何も見えません。

 

「もしかして本当に異世界に連れていかれた?」とこちら側で話していると、彼氏が笑顔で戻ってきました。

 

「ちゃんと写真撮ってきたよー!何もなさすぎて逆に拍子抜けするぐらい。絶対お前も行けるよ!」

 

と写真を見せてくると同時に、私の背中を叩きました。

 

写真に写った景色は真っ暗でなにも見えません。正直、本当に奥まで行ったのか分からないような写真でした。

 

次に友人の彼氏がトンネルに入っていきました。

 

彼氏のときと同じく10分待っても20分待っても帰ってきません。

 

きっとすごく長いトンネルなんだろうと、どんどん私の気持ちは重くなっていきました。

 

今度こそは本当に異世界に?!と思っていたとき、友人の彼氏も何事もなかったかのように戻ってきました。

 

「本当になにもないわ、多分あの噂話は嘘だな。」と強気で言っています。

 

私は最後にトンネルに入るのも嫌だったので、どうせ入らなければいけないのであれば、と3番目にトンネルに入ることにしました。

 

彼氏からは「ついに覚悟を決めたか?!」と言われましたが、怖さと苛立ちでその言葉は無視しました。

 

恐る恐るトンネルに入って、数メートル歩いたと思います。

 

振り返ると入り口に人影が3つ見えます。

 

みんながそこにいることが分かって少し安心しました。

 

さらに進むと、もう入り口はあまり見えず、聞こえるのは自分の足音だけ。

 

もうどこか適当な場所で写真を撮って帰ろうかとずるい作戦を考えたりもしましたが、バレたときにまた入れと言われるのも嫌だったので、意を決して奥まで歩くことにしました。

 

ほぼやけくそだったと思います。

 

心を無にして足を進めているとついに奥まで来ました。

 

トンネルの外にでると、あたりは真っ暗で何も見えません。

 

ただ、少し入り口よりも気温が低いように感じました。

 

早々と写真を撮って、帰りはもう残っている力を全部使って走りました。少しでも早くトンネルを抜けたかったのです。

 

走ると案外入り口は近く、行きよりも半分ほどの時間で入り口に戻ることができました。

 

「やればできるじゃん!」と友人に言われましたが、少し睨んで、トンネルの奥で撮ってきた写真を見せました。

 

「本当に奥で撮った?」と彼氏は疑ってきましたが、その言葉は無視しました。

 

だけど、トンネルでは本当に何も起きませんでした。

 

幽霊ってやっぱり本当にはいないのかな?と感じ始めている自分もいました。

 

最後に友人がトンネルに入ります。

 

「行ってきまーす!」と元気に入っていった友人、早くこの場から立ち去りたいから早く帰ってきてと願いながら見送りました。

 

友人も30分ぐらいしたときに帰ってきました。

 

「はい、写真!本当になにもないじゃん、面白くないね、帰ろ!」と友人が言い、全員で車に乗り込みました。

 

帰りも彼氏の運転で、最初に友人を家に送りました。

 

「ばいばーい、またね!」と言い、家に入っていくまで見送りました。

 

次に友人の彼氏を家まで送り、私たちは同棲している家に帰りました。

 

それから30分ぐらい経ったとき、友人の彼氏から電話がかかってきました。

 

「俺たち、ちゃんと彼女のこと送ったよな?家に入っていくのもみたよな?」と電話口で友人の彼氏は言っています。

 

もちろんちゃんと送ったし、家に入っていくのも見ました。

 

「彼女の母親から電話があって、彼女が帰ってないって言うんだよ…」

 

そんなはずはない、と私は彼氏と顔を見合わせました。

 

「とりあえずあのトンネルまで戻りながら探すか?」との彼氏の提案に、私も友人の彼氏も賛同し、すぐに帰ってきた道を戻りました。

 

トンネルについたとき、目の前の光景に驚きました。

 

トンネルの入り口で友人が泣いているのです。

 

すぐに駆け寄り「こんなところで何してるの?」と話しかけると、「私が戻ってくる前にみんなが帰ったんじゃない!」と怒鳴りながら、友人は言いました。

 

その言葉に友人以外の3人の頭にはハテナが浮かびました。

 

「全員でちゃんと帰ったけど・・・」

 

彼氏がそういうと、「そんな冗談はやめて!」と友人は泣き叫ぶ始末。

 

とにかく訳が分からず、泣いている友人を車に乗せて詳しく話を聞くことにしました。

 

友人が言うには、自分がトンネルから戻ってくると車もみんなもいなくて、完全に置いてけぼりになっていた、とのこと。

 

こちらの言い分としてはそんなことは絶対にしていない。

 

ちゃんと友人も車に乗せて帰ったはずだ。

 

だけど、目の前の友人の戦慄した顔を見ると嘘をついているとも思えないし、友人にはトンネルまでくる車もない。

 

だから多分友人は本当のことを言っているのだろう。

 

そうなると、あのとき一緒に車に乗っていた4人目って誰なんだろう。

 

家にもしっかり入っていったけど・・・。いまだに真相は分からないまま。

 

著者/著作:怪文庫【公式】(Twitter