2026年3月27日 0件 音のない商店街 これは僕が数年前、山梨県の大月市に住んでいた頃に体験した話です。 大月市といえば、桃太郎伝説があったり、切り立った岩壁が特徴的な岩殿山(いわどのさん)があったりと、どことなく古風で少し不気味な雰囲気を感じさせる場所が点在しています。 当時、僕はそんな大月駅の近くにアパートを借りて、都内の職場まで中央線で通勤していました。 仕事が忙しく、帰宅するのはいつも深夜。大月駅に降り立つと、駅前こ […] 続きを読む
2026年3月17日 0件 いないはずの客 数年前の秋、仕事の締め切りに追われてボロボロになっていた私は、突発的にどこか遠くへ行きたいと思い立ちました。 行ったことがない場所にしようと向かったのは、長野県下高井郡にある温泉です。 その場所は、石畳の道が狭い路地に続いていて、夜になるとカランコロンと下駄の音が響くき、まるで時間が止まったような、不思議な磁場を感じる町だとSNSで見かけたので、私は木造建築が重厚な、少し年季の入った旅館に […] 続きを読む
2026年3月13日 0件 読んではいけない本 図書館に読んではいけない本があるという。 読むと必ず後悔してしまうらしい。 稀覯本なのか発禁になったものなのか詳細はわからないが、白っぽい表紙にあまり興味をそそられないタイトルであるという話を聞いた。 図書館や本とは縁のなさそうなギャンブルに人生の20%は支配されている友人に聞いたので信憑性に関してはかなり低いものと感じていた。 だいたい図書館の本は管理システム下に置かれており所属 […] 続きを読む
2026年3月7日 0件 安芸トンネル 広島県広島市に安芸トンネルという名前のトンネルがあります。山陽道上にあるトンネルで、よく事故が起こる場所です。 地元なのでよく通るのですが、なぜ事故が多いのかよく分かりません。特段きついカーブがあるわけでもないですし、トンネル内の照明が暗いということもないです。 今回の話は私がトンネルで実際に遭遇したものではなく、そこで起きた事故の話がめぐりめぐって私のところまで届いた不思議な話です。 […] 続きを読む
2026年3月5日 0件 名前のない墓石 私が通っていた小学校の通学路に墓石が立っていました。 いかにも「お墓」の佇まいなのに名前もなく、誰かのお墓というわけでもないのかお花をお供えされているところも見たことがありません。 子供の頃は、それほど不思議に感じたこともなく誰かが噂話することもありませんでした。 中学、高校はその道を通らないのでその墓石のこともすっかり忘れていました。 大人になって肝試しをしようという話になり、ル […] 続きを読む
2026年3月1日 0件 貸座敷 今から二十年以上前、私がまだ小学生だった頃の話です。 当時、私の実家は埼玉県と群馬県の県境に近い、かなり寂れた農村地帯にありました。 古い習慣が根強く残る地域で、子供心に「触れてはいけない何か」が常に空気の中に混じっているような、そんな独特の重苦しさがある場所でした。 その村には、私の祖父母が住んでいた非常に大きな古い屋敷がありました。 典型的な日本家屋なのですが、その家には一つだ […] 続きを読む
2026年2月27日 0件 消えたさとちゃん 私は九州の北のほうの土地の出身で、普段は県庁所在地付近の比較的都会に住んでいました。 お盆とお正月のみ母方の実家に帰ることがあり、お年玉やお小遣いを祖母や祖父からもらえることは楽しみなものの、親戚のおじさん達はずっと座ってるのに女というだけでずっと給仕をさせられる風習がまだ残っている地域だったため、私と妹は毎回この時期がくるたび憂鬱になっていました。 毎回「もうおじいちゃんとおばあちゃんの […] 続きを読む
2026年2月25日 0件 本物の神様 私の両親は、山奥にある集落の出身です。 まだ私が小さかった頃は年に数回帰省することがありました。普段は東京に住んでいたので、その差に毎回驚かされたものです。 集落の人は優しいですし、自然がいっぱいで、子どもからすると楽しい場所。しかし、何とも得体のしれない不気味さを感じていました。 自然にあふれている場所なのに、なぜか息苦しい。沼に足をとられているような感覚がありました。 ここには来たくない。ずっ […] 続きを読む
2026年2月23日 0件 置いてかれた位牌 私の実家は、田舎で自営業の不動産の賃貸管理をしています。 田舎の賃貸には古い物件も多く、ちょっとした訳ありの方が多くいました。そんな我が家が経験した、怖いというよりは悲しさ、虚しさが勝ってしまった出来事をお話しします。 私が小学校を卒業するかしないかくらいの時に、賃貸に出していた物件から夜逃げをした人がいました。 家賃を数ヶ月分滞納しており、保証人にも連絡がつきません。夜逃げで一番困る […] 続きを読む
2026年2月21日 0件 手引き これは今から13年ほど前、私がまだマッサージ師を目指す専門学生だった頃の話です。 当時、高校を卒業したばかりの私は、盲学校に併設されているマッサージ師の専門学校に通っていました。 私には生まれつき視覚障害があり、眼鏡などで矯正しても遠くの文字などは読むことができません。それでも自転車には乗れる程度の弱視であったため、日常生活は工夫をしながら送っていました。 学校には、私と同じように視 […] 続きを読む