怪文庫

怪文庫では都市伝説やオカルトをテーマにした様々な「体験談」を掲載致しております。聞いたことがない都市伝説、実話怪談、ヒトコワ話など、様々な怪談奇談を毎週更新致しております。すぐに読める短編、読みやすい長編が多数ございますのでお気軽にご覧ください。

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不思議な話

黒い人

その黒い影を見るようになったのはいつからか。 家の中でしか見えないその影。ぱっと出ては、ぱっと消えていく。 日常の中に自然に溶け込んでいるかのように存在している。 最初は幻覚か、目の疲れなのかとも思ったが違った。 なぜなら同じ家に住む妹も目撃…

隣の空き家

俺がまだ小学6年の夏休みの頃の話だ。 うちの実家は、山と川に挟まれたような田舎町にあって、夜になれば虫の音と風の音しか聞こえないくらい静かだった。 その年の夏、母方の祖母が倒れたとかで、母がしばらく実家に帰ることになった。 父は地元の工場で夜…

瞬きをしない人々

その日、朝から街はいつも通りの慌ただしさに包まれていて、通勤ラッシュの人々が流れるように駅に吸い込まれていきます。 私も流れに身を任せるように駅の改札を通り抜け、いつものようにホームに立っていました。 特に変わったことは何もありませんでした…

不思議なお菓子

これは、私がまだ小学生だったころの話です。 私は田舎で育ちました。本当に何もない、山と田んぼと古い神社くらいしかないような、そんなところです。 そのころ、私のクラスには「A君」という男の子がいました。 アジア系の外国人だったように思いますが、…

返せるもの

2011年、3月11日。俺は大学を卒業したばかりで、春から東京の印刷会社に就職が決まっていた。そんな折に、あの東日本大震災が起きた。 あまりに衝撃的な映像が連日テレビから流れ、ただ家でニュースを眺めているのが苦しくなっていた俺は、社会人になるまで…

初めてのアルバイト

高校1年生の夏、私は初めてアルバイトを始めました。 地元のラーメン屋で、こじんまりとしていながらも、地元の人に愛されている人気のお店でした。 お店の外観は少し古びた印象でしたが、入ってみると温かい雰囲気で、お客さんも常連の方が多く、和気あい…

ピラミッドの地下空間

俺が10年ほど前、エジプト旅行に行ったときの話を書く。 別にオカルトマニアってわけじゃないけど、あの体験は今でも頭から離れない。 ピラミッドの地下に何か変なものがあるって話、聞いたことあるか? 俺が見たのは、まあ、説明しづらいんだけど絶対に普通…

獣道

2007年の夏だった。 私は、岩手県釜石市を訪れていた。 目的はただひとつ、かつてこの地に暮らしていたという私の先祖の足跡を辿ることだった。(特にオカルト的な足跡巡りではない) そんな最中、特に理由はなかったが立ち寄ったのが、小さな山を登り静かな林…

石の力

私の実家には「小岩石」(仮)と呼ばれている石がありました。 父に聞いた話では、これは先祖代々山岸家に受け継がれているものらしく、大切にしないといけないとずっと言われてきました。 私には兄が二人いるのですが、長男は山岸家を継ぎ、次男がその石を継…

呼んでいる

三十年前になりますが、阪神淡路大震災のときの話です。 祖父を亡くしてから、神戸市中央区で一人暮らしをしていた祖母。 祖母は、当時大阪府吹田市に住んでいた私たちの家に、数日前から泊まりに来ていました。 私の母が、祖母の娘にあたります。孫(私)の…

初めての一人暮らし

これは、私が初めて一人暮らしを始めた時の話です。 社会人になって3年目を迎えた頃、ある程度の貯金も貯まりそろそろ実家を出ようと考え、初めての一人暮らしを始めました。 たくさんのアパートを内見させてもらい、結局決めたのは築浅の新築同様の綺麗さの…

峠の電話ボックス

もう10年ほど前の出来事になります。 当時、私はまだ結婚前の彼女と付き合っており、ふたりで関西を巡る小さな旅行を楽しんでいました。 その帰り道、夜もすっかり更けて、私たちは車で国道423号線を亀岡方面へと向かっていました。 場所は止々呂美と能勢町…

未来が見える友人

僕は時々デジャブを見る。夢で見たことがある風景で、いつも気づくのはその場所に行ってから気付く。 子供のころは家族旅行をしている時、初めて場所で奇妙なことを言っていたらしい。来たことがない美術館で、いきなり母親に 「お母さんあっちに月の絵があ…

予告写真

これは、おれが以前使っていたスマホに関する話だ。 そのスマホというのは、ネットで買った中古品だった。 おれは昔、就職氷河期に学校を出た。就職はできず、中年の今にいたるまで、派遣とアルバイトで食いつないでいる。 住んでいるのは、関東のはずれにあ…

透り抜けた車

癌が身体中に転移した父は昏睡状態でしたが、初冬の小雪が舞い散る朝、息子の私に手を握られた状態で看取られ、息を引き取りました。 82歳の父は死期を悟っていたと思われ、苦しむ姿を見せることなく静かにその生涯を閉じました。 東北の山間部の実家に住む…

霊感体質

幼い頃からおかしな体験はしていたが、まだ小さかったのでそれが「不思議」だとは気がつかなかった。 母からよく、私が1人で誰かとしゃべっていたのよ、という話しはされていたが、今となっては誰とどんな話しをしていたのかは覚えていない。 ただ、母はそん…

誰もいないのに

夜、峠道を車で移動していたときの話です。 私と母は、後部座席に座り、父が運転していました。 スピードはだしていませんが、急なカーブが多いのでいつもその道路を通る時は気をつけるようにしていました。 しばらくすると、いきなり対向車が対向車線をはみ…

縁切り神社

私が23歳の頃、婚約していた男性と別れ傷心状態の時友人のススメでマッチングアプリを利用しました。 マッチングアプリを始めてすぐに、数名の男性とお会いし意気投合した方が沢山いらっしゃいました。 その中でも1人群を抜いて気になって仕方ない方がいらっ…

聞こえる声

私は小さい頃から俗に言う「霊感」がある体質だと考えています。 親からも、私が幼少期の頃、時折不思議なことを言っていたようです。 親には見えていない人が見えていた、など。学生の頃は友達と心霊スポットに行くと、私だけ人影が見えたり声が聞こえたり…

消えた客室

これは、私が大学時代の友人たちと山奥の旅館を訪れた際に体験した、今でも忘れられない奇妙な出来事です。 その旅館は観光地としても知られる山間の温泉地にあり、歴史と趣を感じさせる佇まいでした。 しかし、そこで過ごした時間は、決して癒しとは程遠い…

拾い徳

私が通う学校は今、オカルト話が流行っている。 大体はどこかで聞いたような怪談話に尾ひれがついたような話ばかりだ。 私はお昼休みに集まってはオカルト話に花を咲かせるクラスメイトを横目に見ながら受験対策のテキストと睨み合っていた。 まあ、気持ちは…

死のカード

小さい頃から霊感はあるようだった私は、30代の頃、タロット占いにのめり込んだ。 占われるのではなく、占う方だ。 霊体験もわりとある方で、結構怖い目にも遭ってきたので、普段は「チャンネル」(第6感のようなもので開けていると浮遊霊等が近寄ってくる…

あの道

これは私が幼い頃に体験した話です。 当時、私の家では犬を飼い始め、夜に姉と母と私の三人で犬の散歩に行くのが日課になっていました。 その日は普段散歩している道ではないところを散歩してみようとなり、大通りから一本奥へ入った住宅街の車一台が通れる…

石畳の橋

私が中学生の頃の体験です。 私たち家族は父の転勤で関東の小さな町に引っ越してきました。 その街には東西に大きな川が流れていて、川にかかる石畳の橋が印象的な、自然豊かで静かな街でした。 引っ越しをして数日が経った頃、近所でお祭りがあったのですが…

夜の集会

私は昔から、地元の山裾にある空き地を不気味だと感じていました。 子どものころ、大人たちは決まって「あそこには近寄るな」とだけ言い含めるのです。 理由を尋ねても「悪いことが起きるから」と言うばかりで、具体的に何があるのかは誰も教えてくれません…

天使のアプリ

天使のアプリってご存知ですか。所謂違法アプリってやつで、あるサイトでダウンロードできます。 失恋したとき、仕事で失敗したとき、理不尽に怒られた時…。生きていると嫌なことってたくさんありますよね。 思い通りにいかないことが多い人生の中で、自身の…

祖父の臨終

あれは、祖父が病気で危篤となっていた時でした。 祖父はガンを患い余命宣告を受けると、延命治療は望まず自宅での緩やかな死を望みました。 しかし戦前生まれの体の構造と言うのはどうにも頑丈なのか何なのか、常日頃から健康に気を付けていたせいなのか、…

神社の前で拾った石

僕は今、地元を離れ関東の某会社に入社して5年目になる会社員です。 実は昔、ある一時期ですが何をやってもうまくいく、無敵状態のときがありました。 ですが、つい今までそのことを全く覚えていませんでした。 なぜ思い出したかと言うと、最近ちょっとした…

深夜の豪雨

よう子は、地方の大学の3年生。親の仕送りだけでは足りず、アルバイトを続ける日々。 就活のプレッシャーを感じつつも、今日もアルバイト。 先月から新たに加えたのが家庭教師。交通の便の悪い地方なのでバイト先の家へは車で通っている。 アルバイトに通う…

幽霊を噛んだ話

あれは今から5年前の出来事です。 そのころ、自分は宇宙人などのSFは信じていても、幽霊などの存在は信じていませんでした。 というのも、自分の出身が長崎であるためです。ご存じの方も多いと思いますが、長崎には第二次世界大戦において原子爆弾の投下さ…